便秘の改善だけではない?第6の栄養素「食物繊維」を知る/最新情報

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便秘の改善だけではない?第6の栄養素「食物繊維」を知る

身体の機能を支える栄養素の中で、炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラルは5大栄養素と呼ばれます。これに次いで、食物繊維は第6の栄養素として言われることがあります。
 
第6の栄養素と聞くと、身体への働きは他の栄養素と比べて小さく感じるかもしれません。いいえ、そんなことはありません。「食物繊維=便秘の改善」は知られていますが、この他にも多くの重要な働きを持ち、皆さんの身体の健康にとって欠かせないものです。
 

あらためて知る食物繊維の働きとは?


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食物繊維は炭水化物に含まれている栄養素で、「人の消化酵素で消化されない食物中の難消化性の成分の総体」と定義されています。例えば穀物、豆、野菜のセミロース、エビやカニの殻のキチン、果物のペクチン、こんにゃくのグルコマンナンなど様々な食品に含まれています。水に溶けない繊維状のものは不溶性食物繊維、水に溶けるネバネバやサラサラの形状のものは水溶性食物繊維と分けられています。
 
不溶性食物繊維は、水分を吸収し膨らみ、腸を刺激して便通を改善させる働きがあります。水溶性食物繊維は、血糖値の上昇を緩やかにする、血液中の脂質の吸収を防ぎます。ダイエットでは、胃の中に食べ物がとどまる時間が長くなり満腹感を高め、野菜、キノコなどの繊維質を感じるものであれば噛む回数が増え、食べ過ぎを防ぐことが期待できます。食物繊維は0~2kcal/g程度と低カロリーであり、ダイエット中の方は安心して活用できますね。
 

手間いらず食物繊維アップのワンポイント

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現在、食物繊維の目標量(18~69歳)は、男性20g/日以上、女性18g/日以上ですが、実際の摂取量は不足しています。この目標量は穀類、野菜、きのこ、海藻、果物などの食品由来として摂取した場合を想定です。サプリメントなどで摂った場合の効果は保証されていません。食物繊維に限らず言えることですが、口の中で噛み、飲み込み、そして胃、腸などの消化器官を通ることで有益な効果が得られます。
 
今回は、今の食生活にひと工夫で食物繊維アップにつながる方法を紹介します。
主食で食べる頻度が多いのはごはんとパンです。ごはんを炊く際に玄米、麦、雑穀米を混ぜることで食物繊維アップになります。最近では、市販のお弁当・チルドパックのごはんでも、「玄米入り」「大麦入り」といった商品が増えてきています。パンを選ぶなら、胚芽や全粒粉、ライ麦入りのものが良いでしょう。
食物繊維は海藻類にも多く含まれます。忙しい時は冷蔵庫にもずく、めかぶなどを常備しておけば、手軽に食べやすいですね。寒い時期には、インスタントスープ・味噌汁にカットわかめや海苔、糸寒天といった乾物をプラスするのもお勧めです。
 
おやつでは、ごま、ナッツ、豆が入ったものの方が食物繊維量は増えます。ただし、ごま、ナッツなどの種実類はカロリーが高くなりやすいため食べ過ぎないように注意は必要です。お菓子を果物に変えるのも良い方法ですね。
 
第6の栄養素「食物繊維」を増やすのは決して難しい方法ではありません。今日の食事から何か取り入れてみませんか?この積み重ねが、あなたの少し先の健康力を上げていきます。
 
担当管理栄養士:佐々木裕子
 
参考文献
・菱田明 佐々木敏「日本人の食事摂取基準(2015年版)」第一出版(2014)
・三浦義彰 小野直美 橋本洋子「食卓の生化学第2版」医歯薬出版株式会社(2017)
・尾岸恵美子「看護に役立つ栄養の基本がわかる事典」成美堂出版(2009)
 
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