素朴な疑問解消!「胃に優しい」ってどんな食事?
食べすぎや飲みすぎた時、疲れている時の食事として「胃(腸)に優しい」、「消化によい」といった言葉をよく耳にしますが、みなさんはどのような食事を思い浮かべますか?
今回のコラムでは、日ごろ胃腸の疲れを感じた時に使える具体的な食事法をお伝えします。
食べものが消化されるまでの流れ
第1ステージ : 胃
胃は食べものを一時的に貯蔵するとともに、蠕動(ぜんどう)運動と呼ばれる収縮する動きや胃液により食べものを細かいかゆ状にします。かゆ状になった食べものは十二指腸(小腸の一部)に運ばれます。ここで胃の蠕動運動が低下し、消化がうまく進まない際に胃もたれが起きます。
第2ステージ:十二指腸
かゆ状になった食べものは胃から少しずつ十二指腸に運ばれます。十二指腸ではからだへスムーズに吸収できるよう様々な消化液や消化酵素により、最終的な仕上げの消化を行います。
消化にかかる時間
食べ物が胃から十二指腸に運ばれる時間は、1回分の食事で約4時間程度と言われますが、特に脂肪を多く含むものは胃に長くとどまります(例:バターなどは12時間程度)。
「胃腸に優しい」「消化がよい」とは、スムーズに消化活動が行われ、からだへ吸収できるように配慮された食事です。
効果的な「胃腸に優しい」「消化が良い」食事ポイントは3つ
1. 胃腸が疲れている時は脂肪や繊維質が多いものを控える
脂肪以外にも繊維質の多い食材は注意が必要です。食物繊維は胃腸で消化されず、とりすぎると胃腸の負担が大きくなります。控えたい食材の一例をあげています。
<米・パン・麺類>
玄米ごはん、全粒粉のパン、クロワッサン、デニッシュ
<肉・魚介類・大豆製品・卵>
脂身の多い肉や魚、ウインナー、ベーコン、タコ、イカ、貝類、油であげた加工食品
<野菜、イモ類、きのこ、海藻類>
こんにゃく、たけのこ、ごぼう、きのこや海藻類
上記の食材でも肉類なら脂肪の部分を取り除く、繊維質が多いものは細かく刻む、すりおろすと胃腸への負担が少なくなります。また、水分と一緒に加熱する「茹でる」・「煮る」・「蒸す」は食材が軟らかくなり消化に良い調理方法です。
味付けでは酸味や辛味に加えて塩味や甘味の強いものは、胃腸に刺激を与えるので薄味を意識しましょう。
2. 食事量は体調と相談、食事の時間は規則的に
食事を長時間抜き胃が空っぽの状態のままだと、胃酸が多く分泌され胃に負担をかけてしまう場合があります。時間がない時は牛乳やヨーグルトなど手軽にとれるものを活用しましょう。また、食べすぎは消化活動を長引かせるため、食事量は体調に配慮して決めましょう。効果的に胃を休めるためにも食事のリズムは一定に。
3.よく噛んで消化を手助け!
よく噛むことは食材を口の中で細かく砕き、唾液に含まれる消化酵素により分解し、胃で行われる消化活動を軽減します。胃腸が疲れている時だけではなく、普段から心掛けたい習慣ですね。
ストレスが強く自律神経のバランスが乱れると、胃腸の不調を引き起こします。楽しく食事を味わうことは消化を促し、ストレス解消になります。
ぜひ食事を楽しむことも忘れずに!
担当管理栄養士 : 佐々木裕子
<参考文献>
・奈良信雄「人体のしくみと病気がわかる時点」西東社(2013)
・高橋信一「専門のお医者さんが語るQ&A 食道・胃・十二指腸の病気」保健同人社(2009)
・宮﨑招久、髙橋徳江「食事療法はじめの一歩シリーズ 胃・十二指腸潰瘍の安心ごはん」(2015)