糖質制限は危険!?正しい糖質制限の仕方を知ろう②
夏も終わり、今年も残すところあと2ヶ月となりました。秋は「食欲の秋」とも呼ばれ、美味しいものがたくさん出回る季節ですね。ついつい手が伸びてしまいがちですが、今年頑張ったダイエットが無駄にならないように、楽しみながら食事を摂っていきたいものです。
前回は糖質制限の概要についてお話しました。今回は食事の摂り方について、詳しくお伝えしていきたいと思います。
糖質制限食の基準
日本では、今のところ糖質制限食の公式な基準はありません。
大まかな基準としては、糖尿病食より、糖質量を抑えた食事を全て糖質制限食と呼んでいます。一方、アメリカではアメリカの糖尿病学会が糖質制限食を定義しています。
定義【糖質量1日130g以内の食事】
日本で糖質制限を推奨している医師は、これを基準にしているところが多いです。
糖質制限をすることで血糖値は上がらず、体は脂肪が燃えやすい状態をつくります。脂肪が代謝されて出るケトン体を身体のエネルギーとして使うのが糖質制限食の特徴となります。1食あたり40gの糖質が目安となります。
*これはあくまでアメリカの定義です。
糖質制限をすると始めは水分が抜ける。
糖質制限をしていて体重がすぐに減ったと喜ぶ方も多いと思います。しかし、3日で体重(脂肪)が1kg痩せるということは1日2500キロカロリー※を消費しなくてはなりません。
まず糖質制限を行うと、主食に含まれる水分量が減り、初めに体から水分が抜けていきます。体は約60%の水分で出来ていますが、水分補給として飲む水の量も少なければ、脱水症状が起こり、体重減少が見られます。
※脂肪1㎏=約7,500kcalとした場合
糖質制限の落とし穴
糖質制限をして痩せた方が多いのも事実かと思います。ただし、間違った摂り方をすると次のようなことが起こりやすくなります。
・頭がフラフラする。
・疲れやすくなる。
・顔が老けて見える。(頬がコケ、黒っぽくなる)
・肌がカサカサ など
以前、私も実験として、糖質制限を試みたことがあります。
これまで通りの食事から主食を抜くという単純な方法で、初めてすぐに体重・体脂肪が減りました。しかし、次第に疲れや肌のかさつきなどを感じ、水分や油の量、カロリーを見直しおかずを1品増やすなど、色々行ってみました。すると疲れや肌のかさつきは少しずつ改善されていきました。
*私の場合は糖質量を50~80gくらいの範囲とし、2週間行いました。現在では制限はやめ、主食も適量食べています。
このように、糖質を抜くことでカロリーや水分も不足しがちになるということが言えます。糖質制限をする場合は、たんぱく質や脂質の量を増やし、カロリー不足にならないようバランスをとっていかなければなりません。
摂取カロリーが減ると体重が減るのは言うまでもありませんが、実は筋肉も落ちてしまうのが、落とし穴となります。
食事の摂り方 ⑧つのポイント
食事の摂り方についてポイントをまとめます。低糖質の食事をする際は以下のことに気をつけてみましょう。
①1日の糖質量は130g以下にする。※1食40g
②主食を取る場合は玄米・雑穀米などの未精製のものがよい。
③肉・魚・大豆製品・乳製品・卵などのたんぱく質は、
1食あたり片手分は摂る様にする。
④ω-9脂肪酸のオリーブオイルやω-3脂肪酸のアマニ油、エゴマ油などをとり、
ω-6脂肪酸の食用油の割合を減らす。
※油の量は1日大さじ3程度を使用するのが望ましい。
⑤水分はしっかり摂り、清涼飲料水やジュースなどはなるべく摂らないようにする。
⑥お酒は焼酎やウィスキーなどの蒸留酒にし、
ビールや日本酒などの醸造酒は控える。
⑦野菜、きのこ、海藻類は合わせて1食で両手分は摂る様にし、
ビタミンミネラルを補給する。
⑧間食は糖質の多いお菓子やケーキを避ける。
糖質制限食はただ主食を減らしたり、なくすのではなく、その分をたんぱく質や脂質で補うこと、水分不足にならないようにすることが重要となります。摂取不足になると低栄養状態をまねき、筋肉量も減少してしまいます。
糖質量130gはあくまでアメリカを基準とした目安です。この数字以下でなければ痩せないというわけではありません。個人の年齢や性別、体型など個人差はあります。糖質制限をする場合は、体の変化と照らし合わせながら量を調整していければ良いと思います。
間違った認識での糖質制限は、とても危険です。糖質制限も普段の食事の選択肢の一つとして、楽しんで食事を食べることが出来ればと思います。
担当管理栄養士:大嶋浩俊
参考文献
・江部 康二 糖質制限革命 東洋経済新報社 (2017)