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熱中症予防のための水分摂取方法

熱中症のニュースが多くなるこの時期、なにを・どのくらい・どのタイミングで
水分を摂るといいのかについてまとめてみました。
 
大人の体重の約6割が水分
栄養素の代謝は、すべて“体液”という水の中で行われており、
水がないと生きていけない「生命の源」なのです。
 
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体内で水は、
 ● 細胞の中
 ● 細胞の外(組織間・血漿
 ● 体腔(肺・心臓・胃腸などの隙間)
に存在しています。
 
 
血液とリンパ液の液体成分は血漿。
 血液は、血球や栄養素、酸素などの運搬、
 リンパ液は古い細胞などの老廃物や
 脂質を運搬しています。
 
 
水の役割
①栄養素の分解
 中性脂肪は、水と油の両方になじむ短銃の助けを借りて、水に溶けます。
 栄養素は、消化酵素が作用すると栄養素は水と反応して分解されます(加水分解)。
 
 
②運搬作用
 栄養素・酸素の運搬、老廃物の排泄などを行っています。
 
③体温調整
 私たちの身体は、一定の体温に保たれています。
 体温が高くなると、発汗して気化熱を奪い、体温を下げています。
 汗を多くかきすぎると脱水症状が起こるのです。
 
 脱水症状は大人の場合、水分損失率2~4%で顕著な症状が現れはじめ、
 子どもの場合5%ほどで症状が現れはじめます。
 
 
体温が上がり過ぎると生命の危機
水は、上記のとおりおもに3つの役割があり、
体温調整で水を使いすぎると①と②の役割で使う水が少なくなるため、
身体を正常に維持できなくなります。
 
そのため、体重の3%ほどの水分が失われると、一度汗が止まります。
 
そのまま、体温が上がってしまうと、
体内のタンパク質(筋肉や酵素など)が正常に働かなくなり、
熱中症の症状のひとつであるけいれんやふらつき、めまいなどが起こるのです。
 
 
どのくらいの水分が必要?

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体外へ排出される水分は、約2,500ml/日と言われています。
 
<排出する水分の内訳>
 尿:1,400ml
 便:100ml
 汗:700ml
 呼気:300ml
 
そのため、
一日に必要な水分は2,500mlなのです。
 
 
ただし、水分というのは、飲料だけではなく
食事からも摂取することができます
そして、体内で代謝するときにできる
“代謝水”というものもあります。
 
 
<摂取・産生する水分の内訳>
 飲料:1,200ml
 食物:1,000ml
 代謝水:300ml
 
ですから、一日3~4食のお食事の内容によって、飲料としての水分量も変わってきます
 
 
熱中症を予防するための水分摂取の工夫
汗は99%が水分、1%が電解質(ナトリウム・カリウム・マグネシウムなど)です。
大量に汗をかくときは、電解質を補える水を摂る必要があります。
 
しかし、栄養と同様、水をただ飲むだけでは、体内に吸収されていません。
 
 
水分が吸収されるのは「腸」です。
※アルコールは胃から吸収がスタートします。
 
つまり、腸で素早く吸収される水を摂る必要があります。
 
腸管では、0.2%前後の食塩入りの水分が吸収されやすいと言われています。
 
ランニングなどの運動をされる方の場合、糖質(エネルギー)も同時に摂取する場合は、
6%くらいの糖を入れると、腸管での吸収が早い濃度です。
 
これは、水1?に対して、食塩1~2g、砂糖40~60gです。
 
そこにレモンを絞ったものなどを入れると、
ビタミンやクエン酸が摂ることができますね。
 
市販のスポーツドリンクは糖度が高めのため、薄めたりする工夫が必要です。
 
また、温度は5~15℃が胃から腸への通過速度が速い温度です。
 
一気飲みをすると、吸収されずに尿として出てしまいますので、
ちょこちょこ飲むことをおススメします。
 
 
運動時どのくらいの量を飲んだらいいかというのは、
汗の量や食事内容によって変わるため個人差があります。
 
運動後の尿の色やタイミングによってチェックすることが可能です。
 
【水分摂取が適切の場合】
運動後1時間ほどで尿意を感じ、色の薄い尿をある程度排出
 
【水分摂取が不適切の場合】
2時間以上の運動中に尿意がなく、食後しばらくたってから排尿する場合
尿の色が濃い、量が少ない
 
 
運動前後の体重と運動中にとった水分量で見てみるのもひとつです。
熱中症を心配して運動中に水分を摂り過ぎてしまうと、運動後の体重が増えていることがありますので、
ご注意くださいね。
 
 
熱中症は、熱射病・熱疲労・熱けいれんの3つの症状があります。
 
気温だけではなく、湿度、自分の体調によっても変わるので、
しっかり食事を摂り、睡眠をとるといった生活の基本を整えることが重要です。
 
 
熱中症予防のための食事内容にご興味ある方は、講座などにてお話しております
 
また、ご依頼があれば、セミナーなども担当いたしますので、
まずはお気軽にお問い合わせくださいませ。
 
担当:三城
 
 
(参考文献)
鈴木志保子 (2011) 『基礎から学ぶ栄養学』 ベースボール・マガジン社
中村丁次 (2006) 『栄養の基本がわかる図解事典』 成美堂出版
 
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