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新米のおいしい時期だからこそ知っておきたい「炊飯の科学」

季節はだんだんと秋に向かっていますね。秋といったらみなさんは何を思い浮かべますか?
“実りの秋”と言われるほど、秋にはたくさんの食べ物が旬を迎えます。その中でもこの時期は日本人の主食に欠かせないお米が収穫され、新米が出回ります。
 
炊飯器のスイッチを押せば簡単にご飯が炊ける便利な時代ですが、今回は新米がおいしい時期だからこそ知っておきたい「炊飯の科学」についてお伝えします。
 
 

炊飯には「水と熱」が必須

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炊飯とは、簡単に言うと固くて食べられない状態の生米に水と熱を加えて食べられる状態のご飯にすることです。
 
固い生米に含まれているβ-デンプンは人の体では消化・吸収することが出来ません。しかしβ-デンプンに水と熱を加えることで人の体で消化・吸収することが出来るα-デンプンに変化し、やわらかくふっくらとしたご飯に炊き上がります。
この変化をα化、または糊化(こか)と言います。
 
つまり炊飯とは、米に水と熱を加えてα化させることです。
炊飯の過程は水浸漬期・温度上昇期・沸騰期・蒸し煮期・蒸らし期の5つに分類され、それぞれの過程に適した温度と時間を守ることでおいしいご飯を炊き上げることができます。
 
 

加熱前のポイントは「しっかりと米に水を含ませる」

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β-デンプンをムラなく十分にα化させるためには、加熱する前に米に水を吸わせる必要があります。この水を吸水させる過程を水浸漬期と言います。
 
洗った米は中心部まで徐々に水が浸透します。中心部まで浸透させるには最低30分は必要で、2時間でほぼ中心部まで水が浸透します。水に浸けておく時間の目安として夏は30分、冬は1時間です。吸水は水の温度が高いほど早くなるため、冬よりも夏のほうが浸漬時間は短くなります。
 
 

炊飯の極意は「火加減」

「はじめチョロチョロ中パッパ、
 ジュウジュウ吹いたら火を引いて、
 赤子泣いても蓋取るな」
 
みなさんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?これは昔から伝えられてきたご飯の炊き方で、それぞれの炊飯過程での火加減を表しています。
 
 
①温度上昇期(はじめチョロチョロ中パッパ)
温度上昇期とは火にかけてから沸騰するまでの過程を言い、この過程で米の中心までさらにしっかりと水を吸水させます。沸騰するまでの時間は10分程度必要で、短すぎても長すぎても良くありません。
 
「はじめチョロチョロ中パッパ」は熱を均一に伝えるために最初の1〜2分は弱火で水の温度を徐々に上げ、その後強火で沸騰させることを指しています。
この過程でじっくり時間をかけて沸騰させることで甘みのあるご飯に仕上がります
 
 
②沸騰期・蒸し煮期(ジュウジュウ吹いたら火を引いて)
沸騰期と蒸し煮期でβ-デンプンをα化させて米をやわらかくふっくらさせます。ここで重要なのが温度と時間で、α化させるためには98℃以上で20分以上の加熱が必要です。
 
「ジュウジュウ吹いたら火を引いて」とは、沸騰したら火を徐々に弱めて沸騰状態を維持することを指します。この時の温度が低かったり、時間が短かったりするとかたいご飯に仕上がってしまいます。目安は沸騰したら中火にして5分、その後弱火にして15分です
 
 
③蒸らし期(赤子泣いても蓋取るな)
蒸し煮期が終わった後はデンプンのα化はほぼ完了していますが、まだご飯粒の周りが水っぽい状態でわずかに中心部に芯が残っています。火を止めた後に10分程蓋をしたまま蒸らすことで水がご飯粒に吸収され、さらに蒸気によって完全に中心部まで熱を通し、ふっくらとしたご飯に仕上がります
 
「赤子泣いても蓋取るな」とは、小さい子供がお腹を空かせてご飯を欲しがっていても蓋を開けずに十分に蒸らしなさいという意味が込められています。
 
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今では誰でも簡単に炊飯器でご飯が炊ける時代ですが、実は炊飯器の中で温度と時間がコントロールされているお陰で私たちは毎日おいしいご飯を炊くことが出来ます。鍋での炊飯は一見難しそうに見えますが、温度と時間を守れば炊飯器を使用しなくても簡単にふっくらとおいしいご飯を炊くことが出来ます。
 
みなさんも新米のおいしい時期だからこそ、ご飯の炊き方を極めてみませんか?
 
担当管理栄養士:河村桃子
 
 
参考文献     
・貝沼やす子「お米とごはんの科学」建帛社(2012)
・佐藤秀美「おいしさをつくる「熱」の科学 料理の加熱の「なぜ?」に答えるQ&A」柴田書店(2008)
 
 
河村桃子執筆コラム
三城円ブログここまで

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