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塩分摂り過ぎはどうして体に悪いのか

生活習慣病の中でも高血圧症は、年々患者が増加しており、3年ごとに厚生労働省が実施している平成26年「患者調査」では、1,010万8,000人もの方が継続的な高血圧症治療を受けていると推測されています。さまざまな病気があるなか、高血圧症で医療機関に通っている総患者数は、男女とも1位という結果もあり、もはや高血圧症は国民病といっても過言ではないでしょう。
 
そこで、高血圧と関係のある塩分について、日本人はどのぐらい塩分を摂っているのか、また、塩分が体に与える影響などをお話いたします。
 

日本人はまだ塩分摂りすぎなのか

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「日本人の食事摂取基準(2015 年版)」における食塩摂取量の目標値は、高血圧予防の観点から1日当たり男性で8g 未満、女性で7g 未満とされています。では、実際どのくらい食塩を摂取していると思いますか。
 
国民・健康栄養調査の結果では、近年、平均して男性で11g程度、女性で9g程度ですので、平成17年度が男性で12.4g、女性で10.7gからすると、日本人も減塩が進んできているなあと思われるかもしれません。しかし、このデータを鵜呑みにして減塩が進んでいると思ってはいけないようです。
 
国民・健康栄養調査は、食事の内容を自身で記録してもらう調査法なので、悪いものと思っている食塩を、ついつい少なめに答えてしまがち、そのためデータには偏りがあるかもしれないのです。そこで、もっと正確に食塩摂取量を調査した研究を紹介し、日本人の塩分摂取量について考えていきたいと思います。
 
日本の23道府県に住む健康な成人(20歳から69歳)760人を対象として、24時間蓄尿を2回行い、1日あたりの食塩排泄量の分布を推定した調査です(1)。 人が摂取した食塩は、小腸からほぼ100%吸収され、体全体で使われたあと、腎臓を経てそのなかのおよそ86%程度が尿中に排出されます。そのため、1日分の尿を全部ためて食塩量を図り、0.86で割れば摂取した食塩量がほぼわかるというのです。
 
この調査から、平均して男性で14g、女性で11.8gもの食塩を摂取していることがわかりました。国民・健康栄養調査の結果の男性で11g程度、女性で9g程度よりずいぶん多いことが分かります。
この差をみると、国民・健康栄養調査では塩分摂取量を少なく申告している可能性があると考えられ、日本人の塩分摂取量は目標値よりかなり高いことが推察されます。また、世界的にみても韓国、中国と並んで高い摂取量だという報告もあります。
 
国立健康・栄養研究所がまとめた、日本人 が食塩を多くとっている食品ランキングをみると、第1位はカップ麺、2位はインスタントラーメン、3位は梅干し、4位と5位は漬物、6位は辛子明太子、7位は塩サバ、8位は白菜の漬物、9位は真アジ干物、10位は塩サケ、以下20位までには、漬物や佃煮、塩蔵品などが続いています。
 
多くの日本人は、日常的に塩分濃度の高い食品を摂取する傾向にあるのかもしれません。
 

食塩と健康について分かっていること

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私たちが摂った食塩や調味料などに含まれる塩分は、小腸で吸収された後、大部分がナトリウムとして腎臓から尿中へ排泄されますが、塩分の摂り過ぎが続くと、腎臓が処理しきれなくなり、体内のナトリウム濃度が高くなり、それを薄めようとするため血液量が増え、血管内の浸透圧が高まり、血管にかかる圧、つまり血圧が高くなるのです。
 
高血圧は、放置しておくと血管が少しずつダメージを受け、その結果として動脈硬化が起こり、いずれは血管が詰まって脳卒中や心筋梗塞を引き起こしてしまう。最新の研究によると、日本人の死亡や麻痺などの障害の原因は、第1位が食習慣で、第2位が高血圧だそうです。塩分が日本人にとっていかに重要な問題であるかわかってもらえると思います。
 
塩分の健康への悪影響を軽減する方法が、大きく分けて2つあります。「塩分摂取量を減らす」「カリウムを多く含む食品を摂取する」です。
 
ナトリウム(塩分)とカリウムは体内で逆の働きをします。ナトリウムが血圧を上げるのに対して、カリウムには塩分の体外への排泄を助け、血圧を下げる効果があるので、カリウムを多く含む生野菜や果物を摂ることが推奨されるのです。
ただし、腎臓が悪い人にとってカリウムの摂りすぎが問題になることもあります。血液中のカリウムが多くなって心臓の不整脈を起こすリスクがあるのです。腎臓が悪い人は、食事中のカリウム摂取量を増やす前に医師に相談してください。
 
また、塩分の過剰摂取は、胃がんの原因となる可能性も示唆されています。塩分濃度の高い食品(漬物、たらこや筋子、干物や塩蔵魚)の摂取量が多いほど胃がんの発症率が高かった。これは、塩分濃度の高い食品によって胃の粘膜が傷つけられことががんの原因ではないかというのです。さらに、塩分の摂りすぎは、腎臓でのカルシウムの再吸収量が減って、尿と一緒にカルシウムが捨てられてしまい骨粗鬆症のリスクを高めてしまう可能性もあるのです。
食塩の摂り過ぎは血圧の上昇と関連があり、心筋梗塞や脳卒中のリスクを上昇させてしまう。
 
減塩やカリウム摂取量を増やせば、血圧が下がり、心筋梗塞や脳卒中のリスクが下がる。これらは、多くの 研究で明らかになっています。
他の栄養素は何が十分にとれていて何が不足しているかを個々に把握しなければならないのですが、減塩だけは多くの科学的に証明された事実から、日本人全体が取り組むべき課題といえるのではないでしょうか。
 
なお、上手に、おいしく減塩するこつは、11月28日のコラム「我慢しない!美味しく塩分を控えよう!」を参考にしてみてください。
 
担当管理栄養士:中川洋子
 
 
参考文献
 :全国調査  朝倉敬子、上地賢、佐々木由樹、政安静子、佐々木敏
 (20181123閲覧)
・津川友介 世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事 東洋経済新報社(2018)
栄養学から考える「食と健康」(20181123閲覧)
日本人はどんな食品から食塩を摂っているか? 国立健康栄養研究所(20181210閲覧)
患者調査 厚生労働省(20181210閲覧)
 
 
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