悪玉コレステロール値を下げる効果があるのは運動、それとも食事?/最新情報

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悪玉コレステロール値を下げる効果があるのは運動、それとも食事?

健康診断でLDL(悪玉)コレステロール値が高いと指摘されると、「運動や食生活を見直してください」と言われます。ところが、運動を始めたものの、なかなか下がらず困っているという方をよく見かけます。
 
そこで、「運動」と「食事」どちらが有効か、コレステロールを知って、正常値に戻す方法を探りましょう
 
コレステロールは悪者と思われがちですが、細胞膜、胆汁酸および男性・女性ホルモンの材料になるなど、重要な役割を担っており私たちの身体に必要不可欠なものです。
 
コレステロールには、LDLコレステロールとHDLコレステロールがあり、LDLコレステロールは肝臓で合成されたコレステロールを血管を通じて体中の細胞に運ぶ働きをし、血液中に増えすぎると血管内にたまり、動脈硬化を進行させる要因となるため「悪玉」と呼ばれています。一方のHDLコレステロールは、さまざまな臓器で使いきれずに余ったコレステロールを回収し肝臓に戻す働きをしており、動脈硬化を抑制する働きをするため「善玉」と呼ばれています。
 
LDLコレステロールが必要以上に増えると血管が傷つき、動脈硬化が進行し脳や心臓の疾患につながるため基準値を超えないようにしなければならないのです。
 
 

運動してもLDL(悪玉)コレステロールが減らない

20170927 コラム画像①.png
グラフは、「運動のみ」「食事のみ」「運動と食事両方を行う」それぞれのLDLコレステロール値の変化量を比較したものです。食事の見直しを併用することで(緑の棒グラフ)、1年間で10~15%程度、LDLコレステロールが20~30mg/dL程度減ったことがわかります。
 
すなわち、運動だけでなく食事だけでもないどちらも同時に見直すことが改善に有効だということです。
 
どのような運動をしたらいいのか
日本動脈硬化学会の動脈硬化性疾患診療ガイドラインでは、脂質異常症改善のための運動の頻度は、できれば毎日、少なくとも週3日以上、運動量は30分以上、強度は最大酸素摂取量の約50%(ややきついと感じる程度)の有酸素運動が勧められています
 
ただし、日常生活での活動量を増やすことも十分効果があります。例えば通勤時に積極的に階段を利用する、筋力不足を感じているなら筋量を効率よく増やすために脚を鍛えるスクワットをする、お子さまと一緒に積極的に体を動かす、ストレッチを習慣的に行うなど。
 
運動は継続することが大事で効果的なのです。
 

LDL(悪玉)コレステロール値が上がる要因

 
血中コレステロール値は摂取したコレステロールだけに影響を受けるわけではありません。
混乱している方も多いようですが、「食事から摂るコレステロール=血中コレステロール」ではありません。血中のコレステロールのうち、食事で摂取したものが2~3割程度で、7~8割のコレステロールは肝臓で合成されています。血中コレステロール値は様々なものの影響を受けますが、食品中の栄養素では、飽和脂肪酸とコレステロールの影響を受けます
 
国民健康・栄養調査では1995年以降コレステロール(動物性のレバー、臓物類、卵類に多い)の摂取量は減少傾向にあり、飽和脂肪酸(脂の多い肉、バター、ラード、生クリーム、洋菓子に多い)は2002年以降やや増加傾向ですので、日本人の血中コレステロール濃度はコレステロールよりも飽和脂肪酸の摂取量の影響が大きくなっていることが考えられます。
 
また、血液中の中性脂肪値が高いとHDL(善玉)コレステロール値が減少し、LDL(悪玉)コレステロール値が増加する傾向があります。中性脂肪値はエネルギー量の摂りすぎや肥満によって上がるので、肥満があれば肥満の解消を第一とし、肥満でないのに中性脂肪が高い場合、甘いもの(果物や菓子類など)、アルコールの摂りすぎに気を付けるなど食習慣を見直す必要があります。
 

LDL(悪玉)コレステロール値が高い人におすすめの食事

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魚(青背の魚)を食べましょう
背が青い魚に含まれる不飽和脂肪酸のDHA(ドコサヘキサエン酸)EPA(エイコサペンタエン酸)には、血液の循環をよくし、コレステロールや中性脂肪を下げる作用があります。
 
食物繊維は十分に摂りましょう
食物繊維は、血中コレステロール値を下げる働きがあります。野菜、海藻、きのこ類など毎食摂りましょう。
 
大豆・大豆製品
大豆に含まれるたんぱく質は小腸でコレステロールの吸収を抑制するため、血液中のLDL(悪玉)コレステロールを減らす効果があります。
 
そこで、LDL(悪玉)コレステロール値の改善に、日本人の伝統的な食文化である和食をお勧めします。和食には味噌汁に味噌や大豆加工品が豊富なうえ、全体的に脂質が控えめ。また、みそ汁の具には海藻や野菜類も取り入れやすいので、野菜不足の解消にもつながります。メインを魚にすればDHAなどの不飽和脂肪酸もしっかり摂取できるため、和食はLDL(悪玉)コレステロール値の改善に効果的です。
 
運動にはリバウンド予防効果がありますので、無理なく体を動かす習慣をつけ、食生活の見直しを一緒に行って数値の改善を目指しましょう。
 
担当管理栄養士:中川洋子
 
 
参考文献 
・佐々木敏 栄養データはこう読む 女子栄養大学出版部 (2015)
・宮地元彦 健康運動指導士基礎講座テキスト 財団法人健康・体力づくり事業団
・e‐ヘルスネット 厚生労働省 
 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-05-003.html  
 (2017.09.10閲覧)
・国民健康・栄養調査  主な健康指標の経年変化:栄養摂取状況調査 厚生労働省
 http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kenkounippon21/eiyouchousa/keinen_henka_eiyou.html
 (2017.09.23閲覧)
 
 
中川洋子執筆コラム
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