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あなたの不妊症の原因は鉄不足かも

前回は妊娠に近づく体づくりの第一歩として、適正体重の重要性をお話しいたしました。
今回は血液検査の中でも最もチェックしておきたい鉄についてお話しします。
 

なぜ鉄が重要なの?

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鉄は生きるためのエネルギー
鉄はヘモグロビンの原料で、呼吸を通して取り入れた酸素を血液で体の隅々まで運ぶ働きをしています。更に運ばれた酸素を用いてエネルギーを作り出す時にも鉄が欠かせません。疲れやすい、朝なかなか起きられない、低体温といった人は鉄不足が考えられます。
 
 
鉄は粘膜の材料
鉄は粘膜を作る材料にもなります。鉄不足の症状のひとつとして、のどに不快感(つかえ感)があるという項目があります。不妊との関連で考えられるのは子宮粘膜の状態です。粘膜はクッションの役割を果たします。子宮内粘膜を布団に例えて
 
 ? 鉄が足りている状態→粘膜はふかふか布団→受精卵が着床しやすい
 ? 鉄が足りていない状態→粘膜は硬くて居心地の悪い布団→受精卵が着床しづらい
 
と考えるとわかりやすいでしょう。
 
 

鉄不足の判定方法は?

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血液検査で調べます。項目は「ヘモグロビン値」と「フェリチン値」です。
 
ヘモグロビン値
一般の健康診断などで貧血の指標となるのが「ヘモグロビン値」です。一般に「貧血」は、赤血球の中にあるヘモグロビンが不足している状態をいいます。ヘモグロビン値が低下すると赤血球の働きが弱くなるため、酸素不足になり、めまい、立ちくらみといった貧血が起こりやすくなります。
 
【ヘモグロビン値の一般的な基準値】
 ・男性:13.0~16.6g/dl
 ・女性:11.4~14.6g/dl
 
 
フェリチン値
フェリチンは、内部に鉄を蓄えることができるたんぱく質で、肝細胞などを中心して全身に分布しています。血液中の鉄分が不足すると、フェリチンに蓄えていた鉄分が放出され、血液中の鉄分量を調整します。
 
【フェリチン値の一般的な基準値】
  ・男性:21~282ng/ml
  ・女性:5~157ng/ml
 
 
実は隠れ貧血の人が多い
ヘモグロビン値が正常であったとしても、フェリチン値が低下していれば、鉄不足の症状が出ます。体内の鉄分量を知るには、ヘモグロビン値だけでなくフェリチン値を知ることが肝心なのです。こういった隠れ貧血の人は私が診る患者でも5人に2人は当てはまっているように思います。
 
一般の健康診断ではヘモグロビン値のみの結果しかでないので、もしフェリチン値を測定できる機会があった時は是非検査をすることをお勧めします。
 
 

食事からできることは?

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言うまでもなく鉄を含む食品を毎日摂取することです。食品に含まれる鉄には、「ヘム鉄」「非ヘム鉄」があります。
 
 ・ヘム鉄…レバー、牛肉、カツオやマグロなど赤身の魚といった
      動物性食品に多く含まれる
 ・非ヘム鉄…ほうれん草や小松菜などの
       野菜、穀類、プルーンなどの果物に多く含まれる
  ※卵は、ヘム鉄も非ヘム鉄も含まれる
 
植物性の非ヘム鉄の吸収率は1~5%ですが、動物性のヘム鉄の吸収率は10~20%ですので、ヘム鉄の方が吸収率は高いです。
 
そう考えると、前回もお話しした通り、たんぱく質(特に動物性たんぱく質)をしっかり摂る食事を心がけることが大事です。また鉄はビタミンCと一緒に摂ると鉄の吸収がよくなりますので野菜も摂りましょう
 
 
そして、妊娠すると普段以上に鉄が必要になります。鉄不足のまま妊娠してしまうと、ご自身の体だけでなく赤ちゃんも栄養不足になってしまいます。それを考慮し、妊娠前から鉄不足にならないよう心がけましょう。
 
 
担当管理栄養士:白井由紀
 
 
参考文献
古賀文敏・定真理子「卵子の老化に負けない妊娠体質に変わる栄養セラピー」青春出版社(2017)
藤川徳美「うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった」光文社(2017)
 
 
白井由紀執筆コラム
 
三城円ブログここまで

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