ジャーサラダは安全でヘルシー?メリットデメリットを考える/最新情報

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ジャーサラダは安全でヘルシー?メリットデメリットを考える

最近流行している「ジャーサラダ」。
さまざまな雑貨屋さんでおしゃれなビンが販売されています。
ジャーサラダ.jpg
今日は、ジャーサラダについて管理栄養士目線で考えてみたいと思います。
 

ジャーサラダのメリット

一般的に言われているジャーサラダのメリットをまとめました。
 
①野菜がとれる
②栄養価の低下が防ぐことができる
③調理の手間が省ける
④サラダなのに保存が可能
⑤シャキシャキ感が保てる
⑥オシャレ
 
 

管理栄養士が気になるジャーサラダの問題点

このなかで、栄養士としてかなり気になるのが、この3つ。
②栄養価の低下が防ぐことができる
③調理の手間
④保存
 
それぞれについて私なりに意見をまとめてみました。
 
栄養価について
ジャーサラダが流行りだしてから、
「栄養価が低下しない」という話について論文含めて調べてみましたが、
私の調べた範囲ではそのようなデータは出てきませんでした。
 
普通に考ると、野菜は酸素に触れる面が増える(=調理によるカット)にしたがって、
栄養価の低下が起こると考えられます。
 
保存の仕方によっては、栄養価の低下は最低限で抑えられるのでしょうが、
「ジャーサラダのビン」がその方法として適切であるか、
についてはかなり疑問が残ります。
 
なぜなら、「酸素をできるだけ入れないように」ビンの中に野菜をつめたとしても、
ギュウギュウにつめる作業時間、
さらに、どれだけつめても完全に脱気できるわけではありませんから、
やはり「栄養価は低下するのではないか?」と考えられるわけです。
 
このあたり「栄養価が下がらない」というエビデンスをご存知の方は
教えていただけると助かります。
 
 
調理の手間と衛生管理
「手間がかかる行動」が何を指しているかによって、
“手間”に対するとらえ方が異なります。
 
私が推測した“手間がかからない”は、
一回にまとめて野菜を切って保存ができる、と理解しています。
確かに、毎食料理をすることと比べると、作り置きしておけることは「楽」ですよね。
 
「②栄養価の低下」とも関連しますが、食材の酸化、つまり栄養価の低下を防ぐためには、
「ビンのつめ方」にコツがあるとのこと。
意外と、瓶詰に時間と手間がかかることも考えられますね。
 
さらに、ここで重大な問題が「保存」。
保存ができるものは、衛生管理がされているものに限ります。
栄養価の有無より、まず衛生管理が重要視されています。
 
どのような“衛生管理”を行う必要があるかについて、簡単にまとめました。
 
●ビン・ふたの煮沸
●入れる野菜の煮沸
●作業時に調理作業で使える手袋(エンボスなど)を使用する
 
私たちの手には、どれだけ殺菌消毒を行っても食中毒の原因となる
・ブドウ球菌
・病原性大腸菌
などが付着しています。
 
そして、直接手で食品をふれることで、それらの菌が食品に感染します。
ジャーサラダの瓶詰め時に素手で食材を触っているとしたら、どうなるでしょうか?
ちなみに、黄色ブドウ球菌は6.7℃から増殖し始め、18.0℃から毒素が発生します。
 
あわせて、食品中にも食中毒菌は存在しています。
ですから、大量調理を行う給食の現場やカットサラダを製造しているところでは、
次亜塩素が入った水槽に野菜をつけて、その後流水するということがで徹底されています。
 
ジャーサラダレシピが多様化すると、卵や鶏肉なども入れる方も増えるでしょう。
卵や鶏肉には「サルモネラ菌」が含まれており、30~37℃が菌の増殖に適した温度と言われています。
 
 
下記のデータの通り、これから夏場にかけて食中毒患者が増加します。
〝細菌による”食中毒患者数の推移(2010)
食中毒患者数月推移,月全国2010年.png
出典 厚生労働省HPより
 
 
ジャーサラダで衛生管理を意識されるのであれば、
すでに消毒されて販売されている「カット野菜」がいいのかもしれません。
 
栄養価は普通の野菜に比べると劣りますが、
優先順位を何にするか?によって選択肢を変える必要があります。
 
微生物(食中毒菌も含む)の繁殖の要因は、水分・pH・酸素・温度です。
ですから、高温多湿の日本では、何日も前に作ったジャーサラダを
お弁当として持ち歩くことは、危険です。
 
家庭での食中毒発生は、自己責任です。
ジャーサラダの指示通り、煮沸消毒は徹底的に行ってくださいね。
 
このような理由から、「③調理の手間」「④保存」についても疑問が残ります。
 

ジャーサラダについてのまとめ

私は、ジャーサラダを否定しているのではありません。
情報の取捨選択力と活用力は「情報の受け取り手側に求められるスキル」です。
上手にメリットを活用しながら、健康管理に結び付けてくださいね。
 
 
簡単にわかりやすくまとめられていました。
 
 
<参考文献>
・政府統計の総合窓口(2015.05.01閲覧)
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/eStatTopPortal.do
・市川富夫 他,「図解 食品衛生学」講談社サイエンディフィク(2003)
・ユーキャン「管理栄養士速習レッスン」ユーキャン自由国民社(2014)
・露木英男,田島眞「食品加工学-加工から保護まで-」共立出版」(2004)
・日本栄養士会「管理栄養士・栄養士必携」第一出版(2014)
 
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